ピアノの効果⑤


ピアニスト ”ラン・ラン”のエピソード

 

音楽療法の効果は既に広く知られています。(火傷の回復、神経症の治療、拒食症治療など)

さて日本で最初に音楽療法の効果について触れたのは宮沢賢治だそうです。「セロ弾きのゴーシュ」のお話です。

オーケストラの指揮者(実際のモデルがいるそうですが)に下手だと言われたチェロ弾きのゴーシュは猛練習をします。毎晩遅くまで、時には夜明けまで・・・。練習している最中、動物達がやってきます。最初は三宅猫、次にカッコウ、3日目は子狸、最後に野ねずみです。最初の3匹の動物達はもしかするとゴーシュのチェロの上達に一役かったかもしれません。しかし4日目に来た野ねずみのお母さんは、ゴーシュのチェロを聴いていると子どもの病気が治るんだと話してくれます。野ねずみだけではありません。ウサギのお母さんも、狸のお父さんも、あの意地悪のみみずくも、みんなが治ったと言うのです。

 

実はこれと同じお話が、ピアニスト“ラン・ラン”の自伝に出てきます。音楽学校に入学するために彼が9歳の時は父と2人で首都北京に来ます。彼らが住み始めたアパートはとても貧弱なところでした。当然夜遅くまでピアノを弾けば周囲にその影響が出ます。隣の部屋の人だけでなく、隣接した建物の住人達からもクレームがあったそうで、警察沙汰になった事もあったとか。そんな中、父と感情がぶつかりあった彼はピアノを弾かなくなってしまいました。父は何も言いません。彼の才能を認める人達は練習をすすめます。ある日、家に隣人が突然訪れてきました。その人は、ランランが夜遅くまでピアノを弾いていると、時には警察を呼んだり、時には窓に石をぶつけた人でした。その隣人が彼にピアノを弾いてくれるように頼みに来たのです。ランランは、あれだけピアノがうるさいと文句を言っていた人が何故?と不思議に思い、その訳を尋ねました。
隣人が言うには、彼とその父親がアパートに入居した頃、丁度神経症で悩んでいたそうです。神経症が悪くなったのはピアノのせいだと思い込んでいたのですが、どうやらピアノの音が自分の心を落着かせていたのに気がついたそうです。ところがランランがピアノを弾くのを止めた途端、病気がぶり返したというのです。治っていた手の震えも出てきてしまいました。
そんな理由で、ランランに再びピアノを弾いてもらいたいと言ってきたのだという事です。これはまるで「セロ弾きのゴーシュ」と全く同じ状況ではないでしょうか。「セロ弾きのゴーシュ」から70年、賢治の音楽療法の効果が、改めて確認されたと感じさせられました。

ピアニスト“ラン・ラン”  

世界を舞台に活躍し、北京五輪・中国建国60周年祝賀会など国家イベントにも引っ張りだこ。映画『のだめカンタービレ』ではのだめのピアノ吹き替えを担当。世界的ピアニスト

『セロ弾きのゴーシュ』         

宮沢賢治の童話。賢治が亡くなった翌年の1934年に発売された作品である。

宮沢 賢治

1896-1933)明治~昭和初期の詩人

神経症とは…精神医学用語。主に統合失調症躁うつ病などよりも軽症で、病因が器質的なものによらない精神疾患をさす。軽度のパニック障害強迫性障害などがこれにあたり、かつて、不安神経症強迫神経症と呼ばれていたため、総称して神経症と呼ばれていた。

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